
喉・首の病気
喉・首の病気
急性咽頭炎は咽頭(のど)に炎症が生じる病気です。風邪を引いた際に喉の痛みを感じることが多く、ほとんどの場合、咽頭炎が認められます。喉の両側に位置する扁桃腺(口蓋扁桃)が感染源となる場合、これを急性扁桃炎と呼びます。ウイルスや細菌による感染が原因で炎症が起こり、扁桃が赤く腫れ、白い膿が付着することもあります。
主な症状には、喉の痛み(特に飲み込む際の強い痛み)、発熱、あごの下や首のリンパ節の腫れがあります。また、痛みが耳やこめかみまで広がることもあります。治療は、症状が軽度であれば、うがい薬やトローチの使用で自然に回復しますが、炎症が強い場合には、抗生剤や痛み止め、解熱剤が必要となります。
症状がさらに悪化し、喉に膿がたまったり、むくんだりする際は、緊急手術が必要になることもあります。また、急性扁桃炎を年に約3~4回以上繰り返す場合は、全身麻酔での口蓋扁桃を摘出する手術が推奨されることもあるため、必要に応じて手術可能な病院へのご紹介をさせていただきます。
慢性上咽頭炎は、鼻の奥に位置する上咽頭が慢性的に炎症を起こす病気です。この病気により、のどの違和感や後鼻漏(鼻水がのどに流れる)、声のかすれ、肩こり、頭痛、めまい、自律神経の不調など、さまざまな症状が現れます。発症のメカニズムについては完全には解明されていませんが、上咽頭に対する治療(上咽頭擦過療法:EAT(B-spot))を複数回にわたって継続することで、症状が改善されることがあります。
この治療は、強い痛みや少量の出血を伴うことがありますが、安全性が高い治療法です。当院は日本扁桃病巣疾患研究会のEAT推奨施設であり、電子内視鏡を使用し、患者さんと共にモニターで画像を確認しながら治療を進めていきます。
声の使い過ぎや炎症、喫煙などが原因で、声帯にポリープができることがあります。この状態は、声のかすれや、声を出しにくいといった症状を引き起こします。炎症を抑える治療や発声訓練で改善が見られない場合は、手術治療が検討されることもあります。また、喉の悪性腫瘍(がん)なども声のかすれを引き起こすことがあるため、声に異常を感じた場合は、早期に耳鼻咽喉科を受診して、診断を確定することが重要です。
のどの異物感や引っかかりを感じるなど、様々なのどの違和感を生じる疾患です。鼻から内視鏡を挿入して、のどに腫瘍などが隠れていないかを確認します。また、首の触診や超音波検査を行い、皮膚の下に大きな腫瘍がないかを確認します。胃酸の逆流やのどのアレルギーが原因となることもあります。明確な原因を特定することが難しいこともありますが、漢方薬などの内服加療を行います。
味がわらかなくなったり、鈍くなったりする症状です。その原因はさまざまで、特に亜鉛不足が関係していることが多いとされています。亜鉛不足の主な原因には、薬の影響や風邪、全身疾患などが挙げられます。また、鉄欠乏性貧血による舌炎や口内炎、虫歯などに伴う舌炎も味覚異常を引き起こす原因となります。亜鉛製剤や漢方薬の内服加療を行います。
食事の際、食べ物を認識し、口に入れ、噛んで、飲み込むという一連の動作が行われます。嚥下障害は、この動作がスムーズに行われず、食事の認識や、舌やのどの動きがうまくいかず、食べ物をうまく飲み込めない状態を指します。もっとも多くみられるのは、老化に伴う嚥下障害です。
また、脳梗塞や脳出血などの脳血管障害、神経や筋肉の疾患も原因となることがあります。嚥下障害があると、食べ物をうまく摂取できず、栄養不足や誤嚥(ごえん)による肺炎などのリスクが高まります。早期に嚥下障害を発見し、適切に対処することで、肺炎などの合併症を防ぐことが可能です。
のど(喉頭や咽頭)にできる悪性腫瘍(がん)です。中高年の男性に多く、喫煙、飲酒が発症に密接に関係しています。近年はウイスル感染によるがんも増加してきています。のどの痛みや嚥下障害、かすれ声(嗄声)、血痰、首の腫れ、耳の閉塞感など様々な症状が出現します。内視鏡検査による観察が必要なため、早期の受診をお勧めします。
当院では、頸部の腫脹がある際には、症状に応じて頸部超音波検査(エコー検査)を行い、上記疾患の鑑別を行います。必要に応じて、採血検査、内視鏡検査、生検や細胞診(細胞を取る検査)を追加します。悪性腫瘍が疑われる場合には、速やかに専門施設へ紹介します。
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